- 2022/06/27
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』
の作画を担当する
現役プロ漫画家・丸山恭右氏が、
『僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)』
の著者である堀越耕平先生の作品を題材に、
物語作りにおける
「視点キャラ」の必要性と
そのテクニックを解説した動画です。
視点キャラを正しく理解し活用することで、
漫画の読みやすさや新人賞などの受賞確率、
キャラクターの魅力が
何倍にも跳ね上がると説明されています。
1. 「視点キャラ」とは?(漫才でいうツッコミ役)
視点キャラとは、
「読者と同じ目線
(一般人の感覚)で物語を進め、
作中の出来事や異常さに
反応するキャラクター」
のことです。
漫才における
「ツッコミ役」と同じ役割を果たします。
変なボケ(異常な状況・変なキャラ)に対し、
「ここがおかしいよ」
「ここで驚く場面だよ」
と読者に代わって
明確に言語化・リアクションしてあげることで、
初めて面白さや魅力が伝わります。
2. 視点キャラの2大王道パターン
パターン①:巻き込まれ型視点キャラ(基礎・王道)
題材
堀越先生の初連載作『逢魔ヶ刻動物園』
構造
読者が共感しやすい
「バイトを探している
普通の女子高生(蒼井華)」
が視点キャラとなり、
異常でやばい主人公
(ウサギの姿をした園長)
に巻き込まれていきます。
ポイント
読者は
「普通の視点キャラ自身」の過去や事情には
大して興味がありません。
そのため、
視点キャラの自分語りは
早々に切り捨て、
主人公の
「一番キャラが立つセリフや行動(変さ・凄さ)」
を引き出すためのフリとして利用します。
コマ割りも主人公が一番目立つように配置します。
パターン②:主人公自身が視点キャラ(応用編)
題材
『僕のヒーローアカデミア』
構造
主人公のデク(緑谷出久)自身が
読者目線で語り手(視点キャラ)となります。
ポイント
主人公が視点キャラを務める場合、
主人公自身の
「普通じゃない部分」
(ヒーローオタクな一面など)
を掘り下げるために、
モブキャラや
周りのキャラクター(爆豪やオールマイト等)に
一時的に視点(ツッコミ役)を移して
リアクションさせる必要があります。
固定の視点キャラがいる
「巻き込まれ型」よりも
高度なテクニックを要します。
3. 視点キャラを使うことで得られる「3つの劇的メリット」
① 格段に読みやすい漫画になる
漫画は
「どこをどう楽しめばいいのか」
「このキャラが普通とどう違うのか」
を読者に親切かつ具体的に説明しないと伝わりません。
視点キャラのリアクションを通して
「読者とのコミュニケーション(優しさ・気配り)」
を作ることで、
共感しやすい作品になります。
② 新人賞などの受賞が格段に近づく
賞の審査では、
応募された膨大な作品の中から
「人に見せられるレベルに達しているか」
でまず選別されます。
視点キャラを配置するという
「基礎・礼儀」(読者への気配り)
ができている作品こそが、
プロの評価の土台(候補)に立つことができます。
③ 作中キャラの魅力が倍増する
例えばヒロアカ1話で、
無個性のデクが
ピンチの爆豪を助けるため
咄嗟に飛び出した際、
周囲のヒーローやモブ(視点キャラ)が
「無謀だ」
「なぜ行くんだ」
と驚愕・動揺します。
この周囲のリアクションがあるからこそ、
デクの
「体が勝手に動いてしまう純粋な正義感」
という最大の魅力が引き立ち、
オールマイトや読者の心を深く揺さぶることになります。
総括
「視点キャラ」とは、
作者の描きたい世界や
キャラクターの魅力を
読者に正しく届けるための
「通訳者(案内人)」です。
堀越耕平先生は
この視点キャラの使い方が
極めて巧みであるからこそ、
読者が感情移入できる
大ヒット作を生み出せているのだと締めくくられています。