- 2024/01/18
現役のプロ漫画家である
丸山恭右先生
(漫画『強ー誰も勝てないあいつにはー』連載中)
による動画の要約は以下の通りです。
新しいアシスタントの募集にあたり、
ポートフォリオで
「ただ写真をなぞっただけ」
のトレース背景を送ってくる
応募者が多い現状に対し、
プロの現場で通用する
「ただの作業」から
「作品作りとしての背景描き」
に昇華させるための
ノウハウや技術、意識の違いを熱く解説しています。
⚠️ トレース背景が下手な人(不採用になる人)の4つの特徴
1. ただなぞっただけ(作業化している)
上からなぞるだけではただの「作業」であり、
プロの「作品作り」にはなれません。
漫画の背景は、
キャラクターの邪魔(目立ちすぎ)をせず、
そのキャラがどんな空間にいるのかを
説明する役割(視認性の確保)があるため、
意図を持って描く必要があります。
2. 画面が白すぎる(描き込みを恐れている)
タッチ(線や影の入れ方)には
実力が露骨に出てしまうため、
初心者は自分の力不足に傷つかないよう
「それっぽい途中段階の絵」
で終わらせがちです。
描き込み(向き合うこと)から逃げたら上達しません。
3. エフェクトやデジタル素材に頼りすぎる
3D素材やAI、
写真加工(線画抽出)、
仕上げのエフェクト素材を
多用しただけの背景は、
「サボった感」
が透けて見えるため論外です。
エフェクトを盛る前に、
自分の手で
「質感・空間・形・固有色・明暗」
の5要素をどう伝えるか真摯に向き合うべきです。
4. パース(遠近法)の知識がゼロ
写真の通りに引くだけで、
そのパーツが
「どういう立体(構造)なのか」
を理解せずに描いた線は、
見る人に形が伝わらず無意味になります。
パースは人物描写にも
必須の最重要の基礎(土台)であり、
感覚ではなく
「算数の容量」で
絵を構築するために
絶対に勉強しなければならない領域です。
🎨 トレース背景を劇的に上手く描く6つのコツ
① 線を綺麗に「抜く」
どこから消えていったか分からない、
綺麗にスッと
「抜き」のある線を引けるようになることが大前提です。
※デジタル(クリスタ等)で
二値化の途切れが気になる場合は、
解像度を高めに
(丸山先生は600DPI推奨)
設定すると描きやすくなります。
② 線の「強弱」をつける
基本ルールは
「外枠(輪郭)は太く、内枠のディテールは細く」
あるいは
「光が当たる側を細く(ここで線の“抜き”を使う)、影になる側を太く」
のどちらかです。
これだけでパッと見の視認性が跳ね上がり、
素人くささが消えます。
③ 「ベタ(黒塗り)」の明確な使い分けと統一感
ベタを入れる際は、
「影(光遮断)」なのか「固有色(その物自体の黒さ)」
なのかを明確に区別します。
影のベタ
同じ空間にある同じ立体なら、
光源を意識して
「同じ面はすべて同じベタ(例:ビルの下の面など)で処理」
という統一感を持たせると視認性が上がります。
距離感の演出(応用)
手前と奥で極端な距離がある場合、
同じ黒さで塗ると距離感がバグるため、
「コントラストが強い方を手前、弱い方(奥)を薄く」
(明るい絵なら奥を白っぽく、暗い絵なら奥を黒っぽく)
処理します。
固有色のベタ
全体が黒くなりすぎる場合は、
トーン・タッチなどを使い分けますが、
1枚の絵の中では同じ手法で
「表現を統一」させることがコツです。
④ 意図を持った「タッチ(カケアミ等の線)」の入れ方
タッチで意識すべきは
「抜き・面の向き・際(きわ)・まとまり」の4点。
ただ作業的に一方向に線を引くのではなく、
「面の向き(立体感)」が伝わるように線を入れます。
特に物同士の設置面や角にあたる
「際(きわ)」を最も丁寧に描くことで、
中身が多少雑でもプロっぽい締まった絵になります。
(際が荒いと素人感が丸出しになります)
最初は多すぎるくらいガシガシ描き込んで、
無駄な線を減らしていく経験が大事です。
⑤ 「奥行き(空気感)」の出し方
線がごちゃごちゃして見づらい背景の場合、
手前のモチーフの周りに
「白縁(しろふち)」を入れることで、
奥の背景と綺麗に住み分け
(視認性向上)ができます。
他にも、
手前の輪郭だけを極端に太くしたり、
手前全体に濃いめのワントーンをかける手法も効果的です。
⑥ 「自然物(木や岩)」の書き方の研究
自然物の記号化・表現方法は作家
(例:ONE PIECE、NARUTO等)
やジャンルによって全く異なるため、
上手い作家がどう描いているかをよく観察・研究し、
1枚の絵の中で同じ表現方法に
「統一」して描くことが大切です。
👨 採用側の切実なメンタル(掛け算の法則)
プロがアシスタントを雇う際、
前提スキル(パースや背景知識)が
全くない人を
1から教えていると、
仕事をお願いできずに
「お金を払って
ただ塾のように教えてあげるだけ」
で終わってしまい、
非常にメンタルと作業個数を削られます。
採用は「掛け算」であり、
実力が「1」なら現状維持、
「0.5」なら足手まとい
(マイナス)になってしまうため、
最低でも「1.1以上」の
ベースの知識・姿勢を持った状態で
応募してほしいという、
切実なメッセージで動画を締めくくっています。